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所有権移転外ファイナンスリース取引きと消費税①(中小企業の分割控除)

所有権移転外ファイナンスリース取引(※)には、平成20年4月1日以降の契約では平成19年度の税制改正が適用されます。

したがって、所有権移転外ファイナンスリース取引は原則として全て売買処理としてあつかわれるため、消費税の課税仕入れ等は、リース取引開始の際(引き渡しを受けた日の属する課税期間)に一括控除されます。

しかし、「新リース会計基準」と「会計基準の適用指針」では、「重要性が乏しい場合は賃貸借処理(オフバランス)が認められる」上、新リース会計基準の対象とならない中小企業などの場合は、「中小企業の会計に関する指針」により、全ての会計処理において賃貸借処理が可能となっており、分割控除が認められています。

また、法人税法でも、賃貸借処理を基準とした償却が認められているため、税制改正後も改正前と同様の税務処理となっています。

このように、税務処理がいささか混乱しやすい内容となっているため、いくつかの点を以下に質疑応答形式でまとめてみました。


質問:
所有権移転外ファイナンス・リース取引で、貸借人が賃貸借処理をしている場合、分割控除は認められますか?

回答:
認められます。
事業者が賃貸借処理をしている場合で、「リース料について支払うべき日の属する課税期間」における課税仕入れ等として、消費税の申告をしている場合は、事業者の実務負担を減らすことを目的とし、分割控除が認められています。


※ 所有権移転外ファイナンス・リース取引
「ファイナンス・リース取引=リース契約を途中解約できず(または解約違約金の支払い義務がある)、フルペイアウトとなるリース取引のこと」のうち「所有権移転ファイナンス・リース取引」に該当しない取引のこと。

所有権移転外ファイナンスリース取引きと消費税②(一括控除と分割控除)

前回に引き続き、所有権移転外ファイナンス・リース取引の税務処理に関する内容を質疑応答形式でまとめています。

質問:
同一の事業者で、複数の所有権移転外ファイナンス・リース取引契約がある場合、税額控除において一括控除と分割控除を併用することは可能ですか?

回答:
可能です。
例えば、高額な精密機械Aと、少額の機器Bを同時に所有権移転外ファイナンス・リース取引し、Aについては売買処理として、消費税の仕入税額控除は一括控除とし、Bについては賃貸借処理とし分割控除とする、ということは可能です。


質問:
リース期間中に、仕入税額控除の時期を変更してもかまいませんか?

回答:
認められません。
初年度に分割控除を行い、次年度に残額を一括控除とする、というような税務処理は認められません。


質問:
はじめに消費税を分割控除で申告しましたが、後日一括控除に変更したいと思いました。認められますか?

回答:
認められません。
申告後の仕入税額控除の時期は、法律に従い変更できません。


質問:
リース期間中に簡易課税制度から原則課税制度に移行した場合、分割控除はできますか?

回答:
できます。
例えば、リース期間の初年度は簡易課税、2年目以降に原則課税となった場合や、初年度に免税事業者だったけれど、2年目以降に課税事業者となった場合などのように移行した場合でも、賃貸借処理している所有権移転外ファイナンス・リース取引は分割控除を認めているので、仕入税額控除を行うことができます。

所有権移転ファイナンスリース取引の税務と会計処理の概要

所有権移転ファイナンス・リース取引の税務およびび会計処理については、平成19年度の税制改正後も改正前と変わっていません。

所有権移転ファイナンス・リース取引は、従来と変わらず、原則「売買処理(オンバランス)」となります。

所有権移転ファイナンスリース取引とは、ファイナンス・リース取引のうち、次の3点のいずれかに該当するリース取引のことです。

・譲渡条件付き(所有権が借手に移転することが認められる)リース
・割安購入選択権付のリース
・特別仕様物件のリース

譲渡条件付きの取引でも、購入時に費用処理するか、もしくはリース期間が1年以内の場合は、賃貸借処理とすることができます。


所有権移転ファイナンスリース取引の会計および税務処理の主要項目については、下記の通りです。

●貸借対照表
リース資産・債務を、リース料総額を利息相当額控除後に計上します。
●損益計算書
利息法により支払利息の計上を行い、減価償却費は自己所有と同一の方法で行います。

●固定資産税
リース会社が納税します。
仮にリースではなく購入した場合には、法人税の簿価と固定資産税の課税標準に差が生じるため固定資産税を二重に管理する必要がありますが、リースではこれらの作業はリース会社が行うため事務作業の簡便化となります。
このため、固定資産税に関してはリースの方がメリットがあると言えます。

●消費税
「リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間」において、リース料総額を課税仕入とし、一括して仕入税額控除を行います(一括控除)。

リース取引きの分類~ファイナンス・リースとオペレーティング・リース

リース取引は、以下のいずれかに分類されます

・ファイナンス・リース取引(日本ではほとんどがファイナンス・リース取引)
・オペレーティング・リース取引


●ファイナンス・リース取引
以下に該当するリース取引。

・中途解約不能
・フルペイアウト

また次のいずれかの場合も、ファイナンスリース取引となります。

・リース料総額の現在価値が、見積購入価格の90%以上である場合。
・解約不能なリース期間が、経済耐用年数の75%以上となる場合。


●所有権移転ファイナンスリース取引:「売買処理(オンバランス)」
以下の3点のいずれかに該当する場合のリース取引。

・譲渡条件付リース取引
・割安購入選択権付リース取引
・特別仕様物件リース取引


●所有権移転外ファイナンスリース取引:「売買処理」 場合によって「賃貸借処理(オフバランス)」

・所有権移転リース取引に該当しないリース取引。

所有権移転外ファイナンスリース取引で、以下の3点のいずれかに該当する場合は「賃貸借処理」となります。

・購入時に費用処理したもの。
・リース期間が1年以内であるもの。
・業内容と照らし合わせた際に重要性が乏しく、1リース料総額が300万円以下である。

また、上記に該当せず「売買処理」となった場合、以下の場合は「簡便処理」となります。

・固定資産における未経過リース料期末残高の割合が、10%未満の場合。


●オペレーティング・リース取引:「賃貸借処理」
・ファイナンス・リース取引に該当しないリース取引。
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